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why don't you die with me?
※ぬるいDV


がごん、という音がした。
次いで衝撃がきた。
骨を骨で打たれたような鈍い痛みが、顔を、腕を、足を、身体中を駆け巡る。
何度めかの衝撃でついに足が耐えきれなくなって、仰向けに倒れ込んだ。
痛みとめまいで立ち上がれない。
水溜まりみたいになっている血が服に染み込んでいく。
目をあけて自分を殴り続けている相手を見ようとするも、瞼を濡らす血が目を開くのを邪魔していてほとんど見えなかった。
(うっすらと見えたのは彼愛用のバット。血が付着しているのできっと、これで殴っていたのだろう。殺す気か。)
相手はそんな自分をしばらく眺めてから、自分の胸ぐらを掴んで無理矢理立たせた。
そしてまた殴った。
今度は一回だけだった。
「痛くないの?」
そいつはそう言って、答える暇も与えずにまた殴った。
(かなり速かった。答えることを許さないような速さだった。)
「痛い?痛いよね?これだけ殴られたら痛いよね?ねえ答えてよ、カタツムリ。」
そう言ってKaeruは、また殴った。
(痛いに決まってる。)
そう言いたかったのに声がひどくかすれていて、Kaeruに呼びかけることも、質問に答えることもできなかった。それを知ってか知らずか、Kaeruはまた殴ってきた。
(知っていて殴っているのだったら、かなりタチが悪い。)
「痛くないの?じゃあもっと殴ってあげようか?えぐってあげようか?切ってあげようか?」
彼の瞳は濁っていて、なにも映していないように思えた。
「ねえ、もっと痛がってよ。もっともっと苦しんでよ。憎んでよ。恨んでよ。
それでさ、死ぬ直前まで追い込んであげるからさ、最後の力を振り絞ってぼくをころしてよ。
お願いだからぼくを殺して。死ぬんだったらその後にして」

Why don't you die with me?

(ぼくを殺して死んじゃえば?)


title 透徹
09.05.14

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